#10

<ロングラブレター作戦会議>
「視聴率下がってるなあ。ここらで新規視聴者つかむ為に、総集編やるか。」
「そうですね。でも生徒役の子達が、『私のセリフが少ない』とか、『見せ場は平等に作れ』とかうるさいんですよ。」
「池垣と柳瀬(医者)、大きく扱い過ぎたかな。」
「仕方ない。とりあえず今までスポット当たってなかった子に、メインのシーン作りましょう。」
「妻夫木ファンからも不満の声が出てますよ。大杉さんもこのままじゃまずいですよ。」
「じゃあその二人も、回想に絡める感じでちょろちょろっと出しておいて。妻夫木は窪塚のライバルになってもらおう。」
「え?現在と未来に別れてるのにですか?どう考えても窪塚&常盤カップルは安泰じゃないですか。無理矢理三角関係にしなくても…。」
「それが恋愛ドラマのセオリーだろ。嫉妬する窪塚、甘える口調の窪塚、堪え忍ぶ妻夫木の涙で、視聴者の母性本能くすぐるんだよ。」
「あとは窪塚&常盤のラブシーンさえ入れときゃあ、文句ないでしょう。今回のメインはもちろんこれで。タイトルもベタな恋愛モノみたいにしときましょう。」
「視聴者の大半は、窪塚のラブシーンを見てうっとりしたい女性ファンなんだからな、ここは思い切りロマンチックに、きれいに作れよ。」
「抱き合ったりキスしたりしたら、臭くないですかね?14日間も風呂入ってないのに…。」
「バカ、そんな事感じさせちゃダメなんだよ。あくまでも美しいキスシーンにするんだ。砂漠の朝焼けバックでな。常盤のコートもちゃんとクリーニングしておけ。」
「関谷はどうします?」
「あれは隔週でいいよ。もうネタ切れだし。最後の最後に華々しく死んでもらうんだから、大ネタは取っておかないと。」
「でもこれだけだと…。原作ファンが来週から見るのやめちゃいませんか?」
「ふふふ…。蜘蛛人間をちらっとだけ出すんだよ。影とかね。」
「なるほど!それじゃ気になって絶対来週見ちゃいますよね!」
「あと予告に『最終回の前の回』って字幕入れとけよ。最終回だけ見ようとする奴がいるかもしれないから。」
「そうやって気を持たせておいて、結局来週も何も起こらないわけですね!」
「そういうこと。とにかく最終回までだましだまし引っ張るんだよ。」
「例え怒りながらでも、見てくれればこっちのもんですよね!」