#8「大きな声が出せますか」

昨夜電話で言った事が気になった陽子(手塚理美)は、病院を抜け出して健一(時任三郎)のアパートへ。佐竹(水上功治)達を許さない、と大学へ行こうとする健一を、「今そんなとこでかっこつけるのは、子供っぽいと思うわ。」と必死で止める。仲手川家では愛子(佐々木すみ江)が何か言ったらしく、幸子(根岸季江)が出て行ったきり、帰ってこなかった。耕一(小林薫)は店を良雄(中井貴一)に任せて探し回る。と、幸子から店に電話が。良雄が邦子(千野弘美)から電話を奪い取ると、幸子は「心配しないで」とだけ言って切った。健一のアパートに京都の母親喜代(荒木道子)が突然訪ねてくる。健一が上京してから初めてだった。素直に「来てくれて嬉しい」と歓迎し、優しくしてくれる息子に、目を細める喜代。しかしあくまでも「一流の会社に内定したおかげで、ひねくれた性格が直ったんやな。」と、健一本人を認めているわけではなさそうで…。

良雄は修一(国広富之)のアパートを訪ねる。修一も夏恵(高橋ひとみ)も、以前の事は忘れたかのように、普通に新しい生活を始めている。恋愛ってそんなものなのか?と良雄。この後家庭教師のバイトがあるからと促されて、良雄が帰ろうとすると、修一は「子供の頃からスケジュールに沿って生活してきたので、友達がいきなり訪ねて来たりするのには慣れていない。そういうのに憧れはあるけど、きっと僕はそういうつき合いには耐えられない。」と寂しそうに語った。健一は大学に行くと佐竹達を探し出すが、三対一でボコボコに殴られてしまう。アパートで良雄と実(柳沢慎吾)が介抱していると、陽子と晴江(石原真理子)がやって来た。陽子は「あんな事言ったけど、本当は行って欲しいと思ってた。」と健一を誉める。邦子は耕一に再び恋心を告白するが、頑なに断られ、手伝いに来なくなってしまう。愛子は口をきいてくれなくなった耕一に、「幸子さんが出て行って、本当はお前もほっとしてるんじゃないのかい?」と水を向けるが、「それは違う」ときっぱり言い切られる。

あー、岩田いい奴だなあ。まだまだ子供なところもあるけど、お母さんへの態度なんか、やっぱり三人の中では一番大人だよね。実なんて空回りしっぱなし。でもこいつも憎めないんだな。やっぱりいいドラマって、いかに登場人物に好感が持てるかってのが重要ですね。どんなにダメダメな奴でも、「でもいいとこもあるんだよ!」なんて、視聴者に擁護したくさせたら成功。いかにも「こんな人いたら、魅力的でしょ?」てなキャラが出てくるドラマ見ても、逆に「けーっ!いい人そうな顔してヤな奴じゃん!」としか思えなかったりするもんね。まあさすがに佐竹は擁護できないけど…。大学生であんな低レベルのいじめってのも凄いよね。


白ブリーフの時任さん。

「本日の佐々木すみ江ショー」
「耕一、耕一、じゃあ聞くよ。上っ面の返事するんじゃないよ。本気で答えるんだよ。本当にお前、あの人出ていって、悲しいかい?建前や決まり文句言うんじゃないよ。心の中の本当の事おっしゃいよ。どうなの?本当言うと、ほっとしてるとこあるんじゃないかい?お母ちゃんが追い出してくれて、ありがたいってことあるんじゃないかい?心臓患ってる嫁が出てって、子供産めない嫁が出てって、正直なとこは良かったんじゃないの?あたしはそういうとこ絶対あると思うね。お前だって赤ちゃん、欲しくないわけないもん。お母ちゃん非難して口きかないなんて、ずるいよ。お母ちゃんはね、あんた達の気持ちぐらい、何だってわかるんだよ。おなか痛めて産んだんだからね。このまま別れりゃいいのよ。見つけて、ハンコつかせりゃいいのよ。」

凄まじい執念である。これ相当の鬼ババアなんだけどさ、小林薫は絶対キレたりしないで、弟にはひたすら「お母ちゃんの気持ちもわかる」とかかばうのね。それでこっちも「そうだよなあ」って納得させられちゃうのかしら。それにしてもこの後の兄ちゃんの返事はかっこよかった!「俺は、あいつ見つけだして、連れ戻して、お母ちゃんには悪いけど、どっちかが死ぬまで、何十年でも一緒にいたいと思ってる。」とキッパリ。お、男らしい…。でも邦子さんの着替え姿みてドキドキしちゃったり、後に浮気したりしてるとこ見ると、100%完璧ってわけでもないのよね。そこがまた人間臭くていいのかも。