#5「親友は誰ですか」

良雄(中井貴一)と晴江(石原真理子)がマンションに駆けつけると、修一(国広富之)は「たいしたことない」と追い返そうとする。無理矢理部屋に入ると、夏恵(高橋ひとみ)が手首を切ってぐったりしていた。晴江はてきぱきと処置をする。怒りの収まらない良雄に、修一は「こんな事されたら迷惑なんだ」と言って、出て行ってしまった。健一(時任三郎)は重役面接でイヤミを言われ、土屋部長(中野誠也)にも「人一倍努力しないと、ついて行けないぞ。」とハッパをかけられ、英会話の勉強を始める。そんな健一に、実(柳沢慎吾)は置いてけぼりにされた気分。綾子(中島唱子)に八つ当たりするが、逆に突き飛ばされてしまう。

晴江は良雄が夏恵の事を好きだと感づいていた。「そんなわけないよ。あの人東京外語大だし、釣り合わない。」「じゃあ看護学校生ならいいってこと?…さよなら。」意地を張ったものの、幸せそうな陽子(手塚理美)が羨ましい。陽子は晴江と二人で健一のアパートを訪れる。陽子一人で来ると思っていた健一は内心ガッカリ。良雄は一人地道に調査を続け、ついに修一の居所を突き止めた。「いろいろなことがわかりました。研究所に勤めてるなんて、嘘だってこともね。」


「ふぞろい」恒例、この二人のどつき漫才の原点がここに!そしてこの後日また綾子が実を訪ねてきます。

「俺はよ、はっきりしねえの嫌いなんだ。」
「はっきりって?」
「わけわかんねじゃねえか。」
「何が?」
「仲手川んとこへ、薬なんか持ってっちゃってよ。それでもってこっちに来るんじゃ、どういう気持ちかわかんないだろ?」
「はい。」
「そこんとこはっきりしねえで、どうやってつき合えるのよ。率直に言って、あっちが好きなの?俺が好きなの?はっきり、ズバリ、ちゃんと言ってくれよ。」
「仲手川さんが、好きですよ。」
「(落胆しながら)…へぇー。」
「でも、私なんか相手にするわけないでしょ。」
「俺なら相手するってのか。」
「そんな事言ったら失礼だけど。」
「失礼だよ。ものすごく失礼だよ。」
「でも、割と合ってるんじゃないですか?」
「そ、そうかねえ。」
「全員希望通りにはいかないし、ほら釣り合わないとよくないって言うし。」
「俺のどこが、どこがあんたと釣り合ってるって言うんだよ。」
「ユーモアあるし、優しそうだし。」
「優しい?俺のどこが優しいってのよ。」
「ほんとは優しい人だって。」
「冗談じゃねえよ。俺はよ、優しさ売り物にするような、そんなヤワな男じゃないのよ。」
「でも、心の底では、」
「俺の心の底どうして知ってるのよ。え?どうして知ってんだよ!(肩を小突く)え?どうして!(更に小突く)」
「そういうとこ、直してくれるといいと思います!」(ビンタ炸裂!実吹っ飛ぶ)
「(頬を押さえながら怯えた目で)なによ、やんないでくれよ、そういうの。」

ね、このセリフ回し、山田太一最高よね。「高原へいらっしゃい」に足りないのはこれなのよ。なによ、なんなのよ。


陽子と晴江が帰った後、「こんなことも、こんなこともしたかったのにぃ〜!」と悶える健一。しかし陽子と結ばれるまでの道のりは、彼の予想以上に険しいものだったのです…。